七通目 月に負ける

これは手紙だから、受けとるひとに向けての言葉だから、なるべくネガティブなことは書かないようにと心がけているのだけど、わたしのデフォルトな状態っていうのが長いこと底のほうにあるもので、どうしても暗くて粗末な部分が顔をだしてしまう。

もしわたしが、手紙を送られるほどの関係のひとにそういう部分ばかりを吐露されたら、とてもじゃないけど平静ではいられない。心配したり、おろおろしたり、失望したりする。だけどほんのすこしだけ、ほっとしてしまうだろう。こういう部分は、わたしにもあるなぁ、と。わたしが読書をする理由もそこにあるのかもしれない。高みを目指すのではなく、現状ありのままをみつめる描写。まるでこころに絵の具をぬってぺたりと紙に押したような、ふくざつなかたちがくっきり表れていればいるほどしびれる。そういうのはいまのところ、読書でしか得られない。本をたくさん読みたい。家事もなにもせず、最低限の衣食住だけを満たして、いろんな本を読みたい。とりあえず、しずかなところに行きたいなぁと、月の半分くらいはおもいながらも、さわがしい場所で、いやいやはたらきながら、くらしています。