十五通目 おだいじに不可

とくに書くことがないことは元気な証拠、というのがセオリー。そうだねとくに、おちこむこともない。かといってなにかに夢中になることもなく、欲望もなく。いつもこんなふうにすごせたらいい。一ヶ月のうち約半分はじぶんがじぶんでなくなってしまう。こころもからだもばらばらになっていくような感覚。これがずっと、ずーっと続くかとおもうと、暗澹たるきもちになります。あ、せっかく元気な時期なのに、元気じゃないときのことをかんがえて、わざわざ暗くなっているのおかしいね。

どんどん寒くなってくよ。幼いころにはぜんぶの季節がすきだったのに、もうずっと、どの季節もたのしめていない。すきなものだけで埋めつくしたい。身の回りのもの、ひと、予定、とにかく全部。そうすればじぶんのことも、もうすこし大事にできるのではないかな。そう、わたしはとにかくものを大事にしないのがすべての元凶な気がする、基本的にあつかいが雑、きれいに保つ努力をしない、捨てることになっても躊躇しない。そこの価値観が夫とは合わない。夫は根本的に、ものをそれはそれは大事に、大事に? いやいや、たいして大事にはしてないなー、だけど壊れたり汚れたりするのをひどく嫌うというか、神経をとがらせてる。そのわりにたいして手入れをしないのが考えてみるとふしぎなんだけど、あつかいかたでいえばわたしのほうがずっと雑なので、たいていのものはわたしの過失によって壊れたり汚れたりする。そうすると全力で非難してくるのだね。そこで、つくづく、価値観のズレをかんじる日々なのであります。付き合っている段階では、矛盾に気がつかなかったのよねー。

「このひとは、ものをこんなに大事にするきもちがあるのだから、すばらしいひとにちがいない」

 とまでは、ちょっとおおげさだけど。でもだいたい、そういうひとなんだろうと思ってた。でもちがった。その素敵なものたちは、じぶんで管理できてたわけじゃなかったのねー。自己管理と、生活のスキルがあるかどうかはとてもだいじなことですよ、過去のわたし、きこえますか。